大学の産学連携組織で大学発ベンチャーの支援を行いながら2008年3月に無事QBS(九大ビジネススクール)を修了しました。そして、2010年4月からは、産学連携的な会社の代表取締役社長に就任。2014年6月に任期満了により退任し顧問として活動しています。大学まわりの情報や産学連携に関する情報を独自の視点で発信していきたいと考えています。

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2013年10月30日

一隅を照らす(みずあかり編)

今日は、久しぶりに九州経済フォーラムの「早朝会」に参加させていただきました。

この早朝会は、地域の経済界の皆様が、朝食を摂りながら各界で活躍されている方の講演を聞くといった勉強会です。

今回のご講演者は、東光石油株式会社 代表取締役会長 石原靖也さん。演題は「『みずあかり』日本一の秘密」でした。



みなさん、「熊本暮らし人祭り みずあかり」というお祭りをご存知でしょうか?残念ながら私は勉強不足で知りませんでした。

公式HPによると、「みずあかり」とは、故郷・熊本の魅力を発見し、「ここに暮らす喜びや切なさまでも共感できる市民と地域でありたい」をコンセプトとして2004年に始まり、熊本城から続く桜町から花畑公園にかけて続くシンボルロードを5万4千個のろうそくが彩るお祭りです。

今年のお祭りについてはこちら

このお祭りを立ち上げたメンバーであり、みずあかり実行委員会 実行委員長を務めていらっしゃるのが石原さんなのです。

ここではこのお祭りをやろうとしたキッカケや逸話は取り上げませんが(公式HPに詳しく書かれていますので、そちらをご参照ください)、素晴らしいご講演でした。

中でも、心に残ったのが、「一隅を照らす」という言葉です。

このお祭りの特徴の一つが、

◯公に頼らない

ということです。石原さんによると、熊本の悪いところは、「ぶらさがり」。何かしようとすると、公(自治体など)・補助金を頼る、つまり、何かにぶらさがってばかりいるのが地域の問題点であるとおっしゃていました。このようなイベントを企画すると、自治体に金銭的な支援を受けるための相談に行くことが多いのですが、このお祭りは、全て民間のボランティア・市民(企業含む)からの寄付で成り立っているそうです。

今年は、のべ5000人のボランティアが準備や運営に参加され、期間中(10月12日ー13日)に約20万人の観光客が熊本を訪れたとのことです。

また、このお祭りに込めた思いは、

①ここに暮す人々に、これ以上のない故郷の「誇り」を抱いていただくこと。
②ここに暮す人々の「希望の灯り」となること。
③この地に暮す責任とこの地の豊かさに貢献する、「暮らし人(くらしびと)」となること。


ここででてくるのが「一隅を照らす」という言葉です。

この言葉は、天台宗を開いた伝教大師最澄が書いた『山家学生式』(さんげがくしょうしき)の冒頭にでてきます。

「径寸十枚是れ国宝に非ず、一隅を照らす此れ則ち国宝なり」

天台宗のHPによると、「径寸十枚」とは金銀財宝などのことで、「一隅」とは今自分がいる場所や置かれた立場を指すそうです。

「お金や財宝は国の宝ではなく、自分自身が置かれたその場所で、精一杯努力し、明るく光り輝くことのできる人こそが、何物にも代えがたい貴い国の宝である」と書かれています。

そして、一人ひとりがそれぞれの持ち場で最善を尽くすことによって、まず自分自身を照らし、そしてこれが自然に周囲の人々の心を打ち、響いていくことで他の人々も照らしていく、そうやってお互いに良い影響を与え合い、やがて社会全体が明るく照らされていく。。。

まさに、このお祭りは、ボランティア、寄付をされた個人、企業の方が、自分の立ち位置でできる最大限の努力をし、実行することで、それが大きなうねりとなり、素晴らしいお祭りに成長していったのではないかと思った次第です。

つまり、市民の皆さんがそれぞれの立場で「一隅を照らす」ことにより成り立っているのです。

何事もカッコいいこと、目立つことばかりをやってしまいがちですが、自分の立ち位置をキチンと認識し、今の自分にできることを黙々と、最大限努力すること、またそれを継続することが、結果として、会社や家庭、社会いい方向に持っていく近道なのだと改めて気付きました。

一隅を照らす、まずは、小さいことから始めてみたいと思います。
  


Posted by 坂本 剛 at 13:16Comments(0)今日の出来事