大学の産学連携組織で大学発ベンチャーの支援を行いながら2008年3月に無事QBS(九大ビジネススクール)を修了しました。そして、2010年4月からは、産学連携的な会社の代表取締役社長に就任。2014年6月に任期満了により退任し顧問として活動しています。大学まわりの情報や産学連携に関する情報を独自の視点で発信していきたいと考えています。

2009年01月24日

第3回九州ナレッジ交流会(その1)

第3回九州ナレッジ交流会(その1)
昨日は、昼前から薬院駅近くの「タカクラホテル」へ・・・。天神駅から歩いていきました。

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この度第3回九州ナレッジ交流会でプレゼンをさせていただくことになったからです。九州ナレッジ交流会とは、知識経営、ナレッジマネジメントに関する取り組みを行っている企業が、
○「想いをつなげる場の形成」に関する取り組み
○ 知識共有に関する取り組み
○ワーキングプレイスに関する取り組み
などの事例を互いに発表することにより企業間相互交流の場を形成し、九州企業の活性化を目指すものです。
主催は富士ゼロックスさん。富士ゼロックスにはKDI(Knowledge Dynamics Initiative)という知識創造・イノベーションに関する専門集団があり、様々な企業に知識創造といった切り口でコンサルティングを行っています。その「想い」に賛同した企業が中心となり、全国でこのような交流会が開催されているようです。九州では、九州電力配電部がナレッジマネジメントに関する取り組みを行っています。その中心人物が、QBS(九大ビジネススクール)1期生でもある西村さん(現:熊本支店)です。西村さんとはQBS修了生としてだけでなく、永田ゼミ生同士ということもあり、この交流会に昨年お誘いいただき、参加させていただいています。
今回は「組織を超えたネットワークづくり」といったテーマに対し、「モノづくり連携大賞受賞活動を事例とした産学連携分野での人的ネットワークづくり」の事例について、パネラーとしてプレゼンさせていただきました。

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当初はこじんまりとした感じ(20~30名程度)かなと思っていたのですが、会場に行ってみると参加者は約100名(笑)。当日午前中に九州電力内部でナレッジマネジメント関係の表彰があり、その関係者の方々がこの交流会に40~50名参加されていたそうです。

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午後1時半から交流会がスタート。基調講演は、石村萬盛堂の石村社長が「百年の素心」といったテーマでご講演がされました。石村萬盛堂といえば、博多を代表する老舗和菓子屋さんであり、マシュマロデー(3月14日)を発案した会社でもあります。

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また、お菓子としては「鶴乃子」が有名ですよね。石村社長のご好意で、参加者一人ひとりに「鶴乃子」が配られました。久しぶりに食べましたが美味しかったですよ。

講演前半は、新規事業について。岩田屋本店(福岡市中央区天神2)本館地下2階に1月21日、にギモーヴ専門店「CHOUWARI(シュワリ)」をオープンされました。ギモーヴとは、フランス語で「マシュマロ」の意味だそうです。ちなみに「マシュマロ」は英語。「鶴乃子」で培った「マシュマロ製造」の技術を生かしたマシュマロに特化した新業態です。

店名は、口の中でシュワーッと広がる口どけのイメージと、伝統の技術を「守(シュ)」る、マシュマロという枠を「破(ワ)」る、マシュマロの型を「離(リ)」れる⇒(守破離:しゅはり)から命名したそうです。
CHOUWARI(シュワリ)についてはこちら

この「守破離」という言葉が今回のご講演のキーワードの一つでした。「守破離」とは、千利休が残した
規矩作法 
守り尽くして
破るとも
離るるとても
本ぞ忘るな
といった茶道の技術習得についての心得を表したものです。

物事を習得するには、
「守」は、まずは基本となる型を学ぶ。
「破」は、基本「型」ができたら自分流にアレンジする。つまり応用を行う。
「離」は、オリジナルの型を離れ独自の型(スタイル)を作り上げる。

といったプロセスがあるということです。石村社長は、「破・離」をいわゆる革新、守るは「伝統」であるといった表現をされていました。

○昨今の企業の改革は本来の「型」を忘れ、「破・離」から入る場合が多く、結果として失敗してしまうことが多い。
○現在のような厳しい経済環境のときこそ原点回帰、つまり基本「型」(本業)を見つめなおすべきである。
○そうすれば、「型」の中から磨けば光るもの、自分の強みを見つけることができる。

石村萬盛堂の「CHOUWARI(シュワリ)」も、実は全く新しいものではなく、自社の一番の強みである「マシュマロ技術」といった「型」を見つめなおし、磨くことによって生まれた新規事業なのです。コンサルのいうことでなく、実践されていらっしゃる経営者の方の言葉なので、非常に説得力のある言葉でした。

数年前にQREPで講師をお願いした、シリコンバレーのハイテクベンチャーIP Infusion(2007年にアクセスが買収)の吉川さんから、同じようなことを聞きました。「型なし」と「型破り」の違いです。

とかく日本のITベンチャーは、「型」を学ばずいきなり自己流でやる場合(型なし)が多い。「守」を忘れ「破・離」から始めるということです。一方、「型破り」とは、基本(型)を忠実に学び、自分のものにしてから自分流にアレンジをしていくことであり、そういったベンチャーじゃないと成功しないということを仰ってました。福岡の老舗和菓子屋の経営者とシリコンバレーのITベンチャーの経営者が同じようなことの重要性を語られたのは非常に興味深いですね。

石村社長
もう一つ印象に残ったのが「ツキを管理」することの重要性。実践的ツキの管理手法として、

○ツイている人(モノ)ととことん付き合うこと
○素直であること

が重要だとおっしゃっていました。日本海海戦を指揮した東郷平八郎元帥のこと、高橋尚子さんのこと(小出監督)や、繁盛店を見続けることなどの事例を引き合いに説明されていました。そんなこんなであっという間に石村社長の講演時間(一時間)が過ぎました。そして、その後私を含め、TOTO、東芝、日立ハイテクテクノロジーズさんのケース討議が始まったのでした・・・


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Posted by 坂本 剛 at 15:40│Comments(0)産学連携
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