大学の産学連携組織で大学発ベンチャーの支援を行いながら2008年3月に無事QBS(九大ビジネススクール)を修了しました。そして、2010年4月からは、産学連携的な会社の代表取締役社長に就任。2014年6月に任期満了により退任し顧問として活動しています。大学まわりの情報や産学連携に関する情報を独自の視点で発信していきたいと考えています。

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2014年11月27日

「はやぶさ2」打ち上げパブリックビューイングが九大であるらしい

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九州大学では、小惑星探査機「はやぶさ2」打ち上げにあたり、伊都キャンパスの椎木講堂でパブリックビューイングを実施します。
パブリックビューイングでは、「はやぶさ2」に搭載された装置の開発に取り組んだ本学大学院理学研究院の岡崎 隆司 助教らの解説を交えながら、小・中学生にもわかりやすく解説します。また、会場では、本学が所蔵する隕石・鉱石等の学術資料の展示や、本学学生の企画による幅広いテーマでの展示や実験なども実施します。
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ということで、平成 26 年 11 月 30 日(日)、小惑星探査機「はやぶさ2」を搭載した H-IIA ロケット 26 号機が、鹿児島県の種子島宇宙センターから打ち上げられます。それに合わせて、九大伊都キャンパスの椎木講堂で、打ち上げを応援するパブリックビューイングが実施されます。




九大と「はやぶさ」との関係は、平成 22 年に帰還した「はやぶさ」カプセル内の微粒子分析に理学研究院の研究者が深く携わったことによります。
それらの先生方が、今回「はやぶさ2」搭載装置の開発に取り組まれました。

パブリックビューイングでは、その開発に取り組んだ理学研究院の岡崎先生らが、子供にもわかりやすく解説をされるようです。

また、会場では、実際に搭載されたサンプラーキャッチャ・コンテナ(試行品)や九大が所蔵する隕石・鉱石等の学術資料の展示も合わせて実施されます。

チラシに妖怪ウォッチ のキャラクター「ジバニャン」らが載っていたので???と思っていたら、映画 妖怪ウォッチ 誕生の秘密だニャン!」のキャラクター「ジバニャン」が「はやぶさ2」のオフィシャルサポーターなんですね(笑)

妖怪ウォッチは、地元福岡の「レベルファイブ」の作品なので、さらに盛り上がること間違いないですね。JAXAも柔らかいことをやるようになったものです。

詳細はこちら

こういったことが九州で開催されることは、この地域の将来を担う子供達にとって、宇宙開発や科学技術の発展に対して夢を持つという点において非常に効果があるのではないかと思います。

ご興味がある方、親子で参加してみてはいかがですか?


  


Posted by 坂本 剛 at 09:09Comments(1)九州大学

2014年09月26日

モルヒネでも抑えられないとんでもない痛み -史上最悪の痛みへの挑戦-

九州大学では、数年前からホームカミングデーおよびアラムナイフェス (九州大学福岡同窓会のイベント)を秋に開催しています。

以前は、箱崎キャンパスがメインだったのですが、本部の伊都キャンパス移転等に伴い、今年から伊都キャンパスで実施されるようです。→こちら

そこで、個人的に興味をもったのが、基調講演のタイトル

「モルヒネでも抑えられないとんでもない痛み-史上最悪の痛みへの挑戦-」

です。薬学研究院の井上先生のご講演なんですが、「史上最悪の痛み」ってどんな痛みなんでしょう?そんな痛みを経験したくはないですが、どんな痛みなのかに非常に興味をもちました。

私が今まで経験した「人生で最悪の痛み」は「尿路結石による痛み」です。いわゆる「石」ってやつですね。

しかも、その発症時期が微妙だったのです。忘れもしない、23年前の12月1日。結納の日の朝(というか深夜)3時くらいから背中が疼き始め、あっという間になんとも言えない激痛に変わりました。初めてのことだったので「俺って死ぬのか?」と思ったくらいです。

自分で救急車を呼ぼうと思ったのですが、その日が結納で、かつ、当時は携帯電話はありませんでしたので、自分一人が病院に運ばれると、親や参加者に連絡するすべがなくなって、大変な混乱が発生してしまいます。結局、当時の彼女(現:妻)を呼び出して、救急車を呼んでもらい、病院に運ばれたのです。。。

井上先生の講演要旨では、神経障害性疼痛(しんけい しょうがいせい とうつう)という痛みが「史上最悪の痛み」とのこと。痛み止めやモルヒネでも抑えられにくいとんでもない痛みのようです。

都合がつけば、講演を聞きに行ってみようと思います。

みなさんにとって「人生で最悪の痛み」は何ですか?  


Posted by 坂本 剛 at 13:23Comments(0)九州大学

2014年06月02日

九州大学発の蛍光色素(Fluolid-PM)

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1979 年に九州大学生産科学研究所(現・先導物質化学研究所)で発見された強蛍光性色素が、九州大学発のベンチャー企業での 10 年の開発期間を経て、がん等の疾病診断技術、DNA 検出技術等に応用されるバイオツールとして実用化のめどが立ちました。蛍光試薬は 2015 年度には 3 千億円(うち病理診断関連 1 千億円)の国内市場規模が予想され、米国での市場規模はその 50~100 倍と予想されています。この蛍光色素の実用化により、これまで国産技術がなく、欧米からの輸入に頼っていた様々な問題が解決されると期待されています。
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ということで、久しぶりのブログ投稿です。

随分前になりますが、私が九大知的財産本部のベンチャー支援の責任者をやっている時に知り合ったのが、今回のプレス発表で名前がでている「アイエスティー」というベンチャー企業です。プレス発表はこちら

社長は、九大OBで現在九州産業大学の教授を務める礒部さん。当時は、大学のベンチャ—支援の一環で定期的にお会いし、アドバイザーとともにメンタリングを実施していました。その後、ふくおかアイストから委託を受けて実施した「大学発ベンチャー:ビジネスプランブラッシュアップセミナー」にも参加いただき、ビジネスプランの検討・ブラッシュアップをサポートさせていただきました。

また、産学連携機構九州(九大TLO)日本政策金融公庫が締結した連携協定のもと、アイエスティーさんを紹介させていただき、福岡支店の担当者に、知的財産を活用した新たな制度融資を実行していただきました。

それから数年が経ち、今回のようなプレス発表が行われたことを大変嬉しく思います。この分野の技術(蛍光色素)は、そのほとんどが欧米で開発されたものであり、高価で輸送上の問題などにより品質にも問題があり、安定性が高い国産の蛍光色素の開発が求められていました。その有望株が今回の「Fluolid-PM」です。

今後の動向に期待大!です。
  


Posted by 坂本 剛 at 11:58Comments(0)九州大学

2014年04月11日

黄砂とPM2.5と百道浜

百道浜で働き始めて、半年が過ぎました。相変わらず、通勤には苦労していて、なんだかんだとマイカー通勤する機会が増えている気がします。

一方、百道浜は、海に近く「黄砂」や「PM2.5」の影響をモロに受ける地域でもあります。毎朝チェックするのが、


空の色です(この写真は、2、3日前に撮影したものです)。

晴れでも、黄砂やPM2.5の飛来が多い場合は、空がかなり霞みます。特に、PM2.5の飛来が多い日は、曇っていても、空の色がなんだか黄色っぽいんですよね。

その感覚は、九大応用力学研究所の竹村先生らが行っている大気汚染微粒子(PM2.5)および黄砂の飛来予測(SPRINTARS)の情報とほぼ一致します。

今日・明日の予測を見ると、黄砂の量は少ないのですが、PM2.5に関しては、今日の夕方から増え始め明日は、一日中飛来量が多いみたいです。

明日は、午後からゴルフ。鼻のムズムズや目のしょぼしょぼ感が、ゴルフのスコアに影響しないことを祈ります。まあ、あってもなくても、最終的にスコアは変わりませんけどね、、、  


Posted by 坂本 剛 at 11:19Comments(0)地域

2014年04月10日

九大と西日本シティ銀行と組織対応型連携協定を締結

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本学と西日本シティ銀行は,平成26年3月28日(金)に組織対応型連携協定を締結しました。
今回の協定締結は,本学の知見や研究成果と,西日本シティ銀行が有する幅広いネットワーク,金融・経済に関するノウハウとを融合させ,(1)地域産業の事業力強化と大学の学術研究の活性化,(2)大学研究成果の事業化促進及び大学発ベンチャーの支援,(3)人材交流を推進することにより,地域の活性に繋げたいという双方の考えが一致したことによるものです。
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ということで、昨年度末ギリギリの平成26年3月28日に、九州地域の有力な金融機関の一つである西日本シティ銀行と九州大学が、組織対応型連携協定を締結しました。詳細はこちら

組織対応型連携」とは、九州大学の産学連携の特色の一つで、企業の個々の研究開発ニーズを解決するだけでなく、ある研究分野、テーマにおいて、企業と大学が組織間の契約を締結し、産学官連携本部のマネジメントにより、個別テーマの選定、研究者のマッチング、スケジュール管理等を行いながら、従来の産学共同研究等における課題であった産学間の認識ギャップを無くし、産学の両者が共同して国際競争力に優れた最先端の実用化技術を開発することを目指すものです。一方、もう一つの大きな目的は、大学の研究・教育の活性化にあります。今回の協定は、こちらの目的に合致するものではないかと思います。

個人的にも、この協定に関連する個別プロジェクトに関わっていて、それらが今後、この連携協定の成果として発表できればと考えています。
  


Posted by 坂本 剛 at 10:12Comments(0)九州大学

2014年02月13日

第2回 九州大学技術シーズ活用フォーラムのご紹介

昨年11月末に初回を開催した「 九州大学技術シーズ活用フォーラム」。3月6日に第二回を開催することになりました。

このフォーラムは、主に九州地域の企業のみなさまに九州大学の技術シーズを紹介させていただき、新規事業×技術シーズの活用、共同研究、技術移転など産学連携による地域の活性化に貢献することを目的としてスタートしたものです。第一回目は、センシング分野をテーマとしたのですが、その後、参加いただいた企業の方とプレゼンしていただいた先生方との間に、競争的資金の獲得にむけたプロジェクトの組成や、共同研究、特許の活用の話が持ち上がっています。

今回は「医療・ライフサイエンス分野における注目技術」をご紹介させていただく予定です。詳細は以下のとおりですので、ご興味がある方は是非ご参加ください。私も会場に出向きます。

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日時:平成26年3月6日(木) 15:00~17:10(交流会:17:20~18:30)

会場:福岡アジアビジネスセンター(福岡ABC)(福岡市中央区天神1-11-17 福岡ビル4階)

募集対象:九州大学技術シーズにご関心のある企業 等

募集人員:40名

プログラム

■テーマ1

「小型・軽量・安価な手指運動の日常動作支援およびリハビリテーション装置」

九州大学 先端医療イノベーションセンター 准教授 荒田 純平

■テーマ2

「Tissue Tablet法:効率的な組織凍結・保存法」

九州大学病院 第一外科 臨床検査技師 寅田 信博氏

 ■テーマ3

「新規細胞老化関連因子の同定による老化診断」

九州大学 農学研究院 准教授 片倉 喜範

(フォーラム終了後 交流会)

参加費

フォーラム1,000円

交流会 2,000円

主催:株式会社 産学連携機構九州

後援:一般社団法人 九州ニュービジネス協議会

詳しい内容につきましては、下記サイトをご覧下さい。

http://www.k-uip.co.jp/media/uploads/forum2nd_20140306.pdf

〔お問合せ先〕

産学連携機構九州(九大TLO) 知的財産部

TEL:092-834-2388

e-mail:home@k-uip.co.jp

  


Posted by 坂本 剛 at 14:40Comments(0)産学連携機構九州

2014年02月12日

PM2.5の飛来予測(SPRINTARS編)

私は、福岡在住です。福岡は、東京より国内由来の大気汚染の影響は間違いなく低いのですが、異国由来の大気汚染は現在深刻な状況です。

その代表選手が「PM2.5」における影響ではないでしょうか?

妻も娘も若干アレルギー気味で、PM2.5の飛来が多い日は、目がモゾモゾしたり鼻水がひどくなったりしているようです。

これらの原因であると言われる「PM2.5」に代表される大気エアロゾル(微粒子)の飛来予測を行ってるのが九大応用力学研究所の竹村准教授を中心とした研究グループであり、そのシミュレーションをするために開発された数値モデルがSPRINTARS (Spectral Radiation-Transport Model for Aerosol Species) です。

最近、全国版のニュース番組でも取り上げられていますね。

毎朝更新されていて、天気予報のように週間予報や可視化した予測データ(動画)を提供しています。

私自身、最近めがしょぼしょぼしたり、むず痒いことがあり、「老眼かな」と感じることがあるのですが、もしかしたらこれらの症状も「PM2.5」など大気エアゾルの影響かもしれません。

春を迎えると、これらに加え、黄砂も飛来してきます。これからのシーズン「SPRINTARS」のシミュレーションデータは欠かせないものになりそうです。
  


Posted by 坂本 剛 at 14:24Comments(0)九州大学

2014年01月03日

自分のブログで今年(昨年)を振り返る2013その2

なんだかんだと年末ドタバタしていたら、新年を迎えてしまいました。。。

ということで、これを書かないと前へ進めないので、自分のブログで今年(昨年)を振り返る2013の後半です(笑)

7月のトピッックは、なんと言っても「博多祇園山笠」に入ったことです。流れは東流で町は下東町です。知り合いの会計士の先生から薦められてというか、
半強制的に誘われました。東流は、山をかくのが速いことで有名です。昨年は数日しか参加できませんでしたが、今年は出来る限り参加したいと思っています。

また、月末には日頃から大変お世話になっている九大システム情報科学研究院の都甲教授の紫綬褒章受章記念祝賀会が開催されました。若輩ものながら本会の発起人を務めさせていただきました。

8月は、上旬に宮崎で開催された九州地域戦略会議の夏季セミナーに参加し、宮崎で養殖されたチョウザメの身を食べました。昨年末からそのチョウザメから採れたキャビアは販売され、反響を呼んでいます。

お盆休みには、家族で香港に旅行に行き、グルメ三昧の楽しい時間を過ごしました。たまには家族サービスをしないといけませんね。。。

9月には、オフィスを長年通った九大箱崎キャンパスから、九大知的財産本部(現:産学官連携本部)とともに百道浜の九大イノベーションプラザに移転しました。通勤状況が大幅に変わってしまったので、未だに通勤に慣れていませんね。

10月には、九大生産機械工学科出身ながらエンジニアではなく違った仕事に就いている有志の会「九大生産機械工学科の会」を太郎源で開催しました。今後メンバーを増やしていきたいと思っています。

11月は、地元久留米で開催された「筑後地区九大同窓会」に参加しました。そして、ご依頼により基調講演を務めさせていただきました。最年長の出席者が90歳というのには驚きました。今後、この会が発展することを期待しています。

12月は、QBSの恩師である永田晃也教授がセンター長を務める九州大学科学技術イノベーション政策教育研究センター(CSTIPS)が実施している科学技術イノベーション(STI)政策専修科目の一つ「地域イノベーション政策特論」で、一コマ担当してほしいというご依頼があり、久しぶりに教壇に立ちました。

準備する時間を作るのに苦労しましたが、講義のレジュメを作成するにあたり産学連携の実務を体系的にまとめるという点ではいい経験でした。

ということで、早足でしたが、今年(昨年)を振り返ってみました。今年は、午年ということで丙午生まれの私は年男です。

飛躍の年になるよう精進・努力していきたいと思っていますので、今後ともご支援・ご指導方よろしくお願いいたします。
  


Posted by 坂本 剛 at 12:21Comments(0)今日の出来事

2013年12月22日

VIVCO新製品発見(九大の技術活用編)

先日帰宅途中に歯ブラシを買おうと最寄りの駅にあるドラッグストア「セガミ」に寄ってみて見つけたのが、


VIVCOモイスチャーマスク

「VIVCO」とは、九州大学工学研究院後藤教授の開発したS/O技術を活用した化粧品です。⇒こちら

薬物を界面活性剤の分子膜でコーティングすることにより油相中に分子レベルで高分散、親水性薬物を固体状態で油相へ封入する技術です。

経皮、つまり皮膚から体内への吸収性も高めることができるため、元々経皮吸収製剤を開発することを目標にしていましたが、その過程で化粧品の開発に応用されたのが「VIVCO」です。

特許は、産学連携機構九州が保有しており、この化粧品の材料の開発・製造を行っている「ココカラファインネクスト」にライセンスをしています。

HP上ではこの新製品「モイスチャーマスク」を見つけることができませんでしたが、これからの空気が乾燥する時期に、女性のみなさまにとって非常に役に立つマスクではないかと思います。

ドラッグストア「セガミなど」で見かけたら、まずは手に取ってみてくださいね。
  


Posted by 坂本 剛 at 10:43Comments(0)産学連携機構九州

2013年12月13日

地域イノベーション政策特論(九大STI編)

ちょっと時間が経ちましたが、12月4日に、QBSの恩師である永田晃也教授がセンター長を務める九州大学科学技術イノベーション政策教育研究センター(CSTIPS)が実施している科学技術イノベーション(STI)政策専修科目の一つ「地域イノベーション政策特論」で、一コマ担当してほしいというご依頼があり、久しぶりに教壇に立ちました。



シラバスによると、この講義は、社会人大学院生や総合理工学研究院の学生に対し、

地域イノベーション・システムの概念を理解し、産業競争力を構成する地域的な諸特性や策課題を分析するための視点を習得する。

とあります。また、

その際、産業クラスター等の分析概念を習得するとともに、研究開発支援等の施策・制度、大学・公的研究機関等の中核拠点等の役割に関する基礎知識を学ぶ。あわせて企業戦略、新産業創出等、イノベーション政策に関連するイシューに対する理解を、産学官の諸
アクターによる相互作用プロセスを捉える視点から深める。


ともあります。私に与えられたお題は、産学連携分野の実務について。担当する平田客員准教授と打ち合わせの上、「大学発ベンチャーと人的ネットワーク」というテーマで講義を行いました。

元々、創業時やベンチャーの成長過程において人的ネットワークが重要であると、よく言われています。

私自身もそのことは、ベンチャー支援の実務上で感じているところなのですが、それを大学発ベンチャーの分野でエビデンス・ファクトをもとに分析した事例・報告書はほとんどありません。そういった状況の中、日本で唯一といっていいと思いますが、調査・分析した報告書が、平成23年に東大と経済産業省が実施した「大学発べンチャーに関する追跡調査」実施報告書です。

その報告書をリーディングアサインメントとし、私が実務の中で感じている人的ネットワークの重要な点や、ネットワーク理論を織り交ぜながら講義をさせていただきました。

受講生のみなさんにどれだけ伝わったかは微妙ですが、少しでも大学発ベンチャー関係を中心とする産学連携実務の雰囲気を感じでいただけてたらそれだけでも成果はあったのではないかと思います。

ということで、



平田客員准教授とパチリ。平田客員准教授は、QBSの同期生。これも人的ネットワークですね。  


Posted by 坂本 剛 at 15:41Comments(0)九州大学

2013年11月29日

第一回九大技術シーズ活用フォーラム

昨日は、産学連携機構九州の主催(後援:一般社団法人ニュービジネス協議会)で、九大技術シーズ活用フォーラムを開催しました。


今回が第一回目です。目的は、九州大学の技術シーズや研究者と九州を中心とした企業がふれあう「場づくり」を行い、その後のコーディネートまでお手伝いさせていただき、特許の活用による新規事業の創出や共同研究、競争的資金の獲得など研究開発の促進に繋げていくことです。

なので、多くの企業を集めるというより、弊社会員企業様やご後援いただいたニュービジネス協議会会員企業様で関連がある、ありそうな企業の方を中心お声掛けさせていただく予定です。

各回分野を分けて概ね四半期に一回程度開催していきたいと思っています。

今回のテーマは、センサー、レーザーデバイス関連の技術。


産学連携センター間瀬特任教授、総合理工学研究院笹田教授、システム情報科学研究院興教授にそれぞれの研究成果についてプレゼンをしていただきました。

初回ということで、フォーラムの進行・段取りについては反省すべき点が多々ありましたが、その後の交流会では個別にコラボレーションの話が企業と先生方との間で行われており、具体的にフォローすべき案件もでてきました。なんとか成果を出していきたいですね。

次回は更にプログラムなどをブラッシュして進めていきたいと思っています。  


Posted by 坂本 剛 at 11:13Comments(0)産学連携機構九州

2013年11月02日

よござっしょ、と、ITS利活用

私は井尻と雑餉隈の中間あたりに住んでいます。

福岡以外の方は「雑餉隈」の読み方はわからない方が多いと思います。「ざっしょのくま」と読みます。

福岡の中心街から電車で15分くらいのところにあります。実は、ソフトバンクの孫さんがソフトバンク(当時はユニソン・ワールド)を創業した場所だったり、武田鉄矢さんの実家のたばこ屋(武田たばこ店)が近くにあったりします。

旧花街なので、猥雑感満載な地域ですが、野菜が安かったり、安くて美味しいお店がたくさんあります。

その雑餉隈で、ここ数年行われているのが、



よござっしょ はしご酒大会」。今回で6回目になるようです。3枚続きの3000円のチケットを購入し、飲食店を「はしご」するイベントです。今回の参加店舗数は47店舗みたいですね。今までタイミングが合わず行く機会が無かったのですが、今回は13日に仲間数名を参加する予定です。

このイベントのポスターが、駅に貼ってあったので見てたら発見したのが、


アンケート・実証実験への協力のお願い。

このイベントが、地域における情報通信技術の振興や地域社会の活性化等に貢献する地方の大学や企業等の研究開発を推進するために実施されている、総務省戦略的情報通信研究開発推進制度(SCOPE)の平成25年度課題に採択された「人の動きをやさしく支援する地域ITS利活用基盤に関する研究開発」の実証実験の場となっているということです。

総務省のHPによると、九州大学では、古川浩システム情報科学研究院教授が担当されていらっしゃるようです。事務局は知人がやっている九州ITS利活用研究会(QPITS)です。

ITS技術やスマホを活用して人の動きの分析や、来訪者に対し様々な情報提供を行う実験が実施されてるのではないかと思います。

地域振興イベントとITSの利活用からどのような分析結果・イノベーションが生まれるかに、興味大&期待大です。13日は、ざっしょあたりを友人と「さるいて」いますので、お気軽にお声かけ、ではなく、スルーしてください。  


Posted by 坂本 剛 at 09:23Comments(0)産学連携

2013年10月31日

味覚・嗅覚センサ研究開発センター

先日、九州大学の産学連携関係事務組織から、新しいセンター開設のプレス発表にあたり数点事実関係の確認をしたいとのことで連絡を受けました。そのセンターが、日本経済新聞の記事に取り上げられています。

そのセンターとは「味覚・嗅覚センサ研究開発センター」

今年の春に紫綬褒章を受章されたシステム情報科学研究院都甲教授が開発した味覚センサーを中心とした、味やにおいを検知するセンサーの研究・開発拠点です。

記事によると、味覚センサー以外にも、味覚・嗅覚障害や偏食の発生メカニズムなどの基礎研究も行うとのことです。また、このような味覚や嗅覚のセンサーに特化した研究・開発拠点は世界でも初とのことで、このセンターが味覚・嗅覚の研究分野の聖地になることは間違いありません。


私自身、今年の7月に行われた紫綬褒章受章記念祝賀会の発起人を務めさせていただいたので、このセンターの開設を非常に身近なものに感じます。

今度、都甲教授に連絡して、センターを訪問してみたいと思っています。  


Posted by 坂本 剛 at 10:32Comments(0)九州大学

2013年10月22日

久留米市と九大農学研究院のコラボ

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環境の変化に対応できる「強い農業」を目指そうと、九州大学大学院農学研究院と久留米市が21日、連携協力についての協定を結んだ。同市役所であった締結式では、平松和昭・同研究院長と楢原利則市長が協定書に署名した。
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ということで、久留米市と九州大学農学研究院が、連携協定を締結したようです。記事はこちら

久留米市出身で、九州大学OBとしては嬉しい限りですが、産学官連携分野に携わっている身として言いたいことがあります。

それは「握手だけで終わってしまわないでね」ということです。

このような自治体と大学の連携協定でよくあるのが、トップ同士が握手すること、が目的となってしまい具体的な連携が進まないということです。握手はあくまでもスタートなのですが、それがゴールになってしまうのです。

記事を見る限り、具体的な課題やテーマが明確になっているようには見えません(具体的なテーマがあるのかもしれませんが)。

先日ブログに書きましたが、BKシードレス(甘い種無しぶどう)など九大の研究成果を久留米市の農業に移転する、とか、Qbeefを久留米市で育成するとか、何か具体的な連携が進むことを期待します。また、農学部は、農学部の中に大学があると言われるくらい研究分野が広範囲にわたります。

農業に限らず、例えば今流行りの6次産業化の視点で、食品分野やバイオ分野などでの連携も考えられるかもしれません。

とにもかくにも、この連携協定が有意義なものとなり、地元久留米の地域活性化の起爆剤になることを期待します。  


Posted by 坂本 剛 at 15:52Comments(0)産学連携

2013年10月15日

70年ぶりにアルミニウム強度アップの可能性(九大編)

丁度この時期はノーベル賞の発表の時期です。今年は、日本人の受賞が期待されながら現時点では難しい状況のようです。焦らず、来年に期待したいところですね。

ということで、科学技術技術分野における研究成果が気になるこの時期に見つけた記事が、

アルミニウムの強度を70年ぶりに大幅にアップさせられる可能性 - 九大

九州大学(九大)は10月4日、理化学研究所が所有し高輝度光科学研究センターが運用する大型放射光施設「SPring-8」での「4D観察」(3次元に時間を加えた、3Dでの連続観察のこと)を活用し、アルミニウムの真の破壊メカニズムを解明したと発表した。

生産機械工学科の会の主宰者・メカニカルエンジニアとしては非常に気になる記事です。

アルミニウムは、産業界で様々な用途に利用されています。私もエンジニア時代に、半導体製造装置の設計時によく使いました。

その利点の一つが、鉄に比べて加工性が高く比重がほぼ1/3であること。

現在公開中の「風立ちぬ」でもでてきますが、ゼロ戦の機体は、アルミニウムの一種である「超々ジュラルミン」という高強度なアルミニウムが使用されていたのです。

一方、鉄やステンレスに比べ強度が低く、その課題解決のために様々な研究が行われてきたのですが、今まで強度の向上が飛躍的に可能な技術は生まれてこなかったようです。そのため、この記事によると、第2次世界大戦前後に開発された航空機用アルミニウムがいまだに航空宇宙分野で多用されているとのことです。

今回の研究で、アルミニウムの真の破壊メカニズムが解明されたことにより、レアアースのような特殊な添加元素や複雑で高コストの製造プロセスに頼らなくても、高性能なアルミニウム材の製造が可能になるようです。

第2次世界大戦により壊滅した日本の航空機産業が、戦後60年以上経ち、本田の航空機事業への参入や、イプシロンロケットの打ち上げなど、まさに復活の時を迎えようとしています。その流れを下支えするのが、このような基礎技術ではないかと思います。

今後の技術開発から目が離せません。  


Posted by 坂本 剛 at 08:51Comments(0)九州大学

2013年09月12日

九大発の美味しいブドウ「みつしずく」

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九州大学大学院農学研究院の若菜章准教授らが育成したブドウ新品種「BK シードレス」の栽培実用化のため、九州大学の研究グループの指導のもと、2011 年からブドウ生産者による現地試験栽培が進められてきました。2013 年から、福岡県内の現地試験栽培協力農家が全国に先駆けて本格的な出荷を開始します。また、本年 10 月上旬からは、一定の品質基準をクリアした「BK シードレス」の高品質果実がブランド名「みつしずく」として福岡市内の百貨店で販売されます。今後は、多くのブドウ生産者に「BK シードレス」の栽培技術を移転し、全国規模での物産化を支援します。
+++++
ということで、先日プレス発表が行われました。

九大のプレス発表はこちら

日本経済新聞の記事はこちら

この種子なしブドウ新品種については、2011年に発表されており、それによると、この「BKシードレス」という品種は、九州大学の果樹研究グループが、ブドウにおける遺伝・育種的な研究を進める中で、優れた遺伝的性質をもつ品種として育成されたモノであり、

・大変優れた食味の高糖度種子なしぶどうである。
・栽培に必要な労力が少なく、農薬を減らした栽培も可能であることから、生産者と消費者の両方に優しい品種である。

とのことです。一方、この品種の特長を活かすためには、栽培技術の開発が必要だったために、2010年には、九州大学の研究グループとブドウ生産者等からなる「BK シードレス」栽培利用研究会を設立し、ブドウ生産者に苗木を提供して現地試験栽培が始まったようです。

その結果をもとに、このプロジェクトに参画された福岡県内の現地試験栽培協力農家によって、今回全国に先駆けて「BKシードレス」の出荷が始まったとのことです。

また、一定の品質基準をクリアした「BK シードレス」の高品質果実については、ブランド名「みつしずく」として11月から福岡市内の百貨店で販売されます。

ということは、私達も福岡市内の百貨店でこの美味しいブドウをいち早くゲットすることができるということです(笑)。

11月が楽しみです。  


Posted by 坂本 剛 at 11:29Comments(0)九州大学

2013年08月08日

研究大学強化促進事業(九大編)

昨日の私のFBのタイムライン上でチラホラ流れていましたが、8月6日(火)に文部科学省は、平成25年度「研究大学強化促進事業」の支援対象機関について採択結果を公表しました。→こちら

各種メディアでも取り上げられています。日本経済新聞の記事はこちら

採択は22の大学・研究機関。記事によると、今後世界的な成果が見込める大学や機関を、

・科学研究費補助金(以下、科研費)に採択された数
・科研費の研究者1人あたりの獲得額
・他の研究者に引用される回数が上位10%に入る影響力の高い論文の割合
・成果の民間企業への移転など

10の指標で評価し、今年度から毎年2億~4億円を10年間支給するとのことです。

トップの評価を受けたのが、東京、京都、東北、名古屋の4大学で最高評価の4億円の助成を今後10年間受けることになります。
九州大学は、その次の評価群に入っており3億円の助成を今後10年間受けることになります。

また、今回の評価がずっと継承されるわけではなく、5年後の中間評価によって入れ替えの可能性もあると記事には書かれています。

この支援の中には、研究戦略や知財管理を担う人材や研究を支援する技術者の雇用、若手研究者の登用などを継続的に進める、とあります。我々産学連携分野に身を置くものとしては、このあたりの支援が今回の事業でどのくらい行われるのかに非常に興味があります。

資金的な支援もそうですが、先日iPSの山中先生がいろんなところでコメントされたとおり、この分野で有期雇用・非常勤で働くスタッフの「安定雇用」について、今回の事業採択がその実現に向けたモーメンタムになればいいなと思った次第です。

しかしながら今回の事業の採択の可否は、明らかに、数多くの大学にとって「研究大学」として生き残れるかどうかの分水嶺ではなかったのではないでしょうか。特に地方の大学の生き残り戦略に大きく影響を与えたのではないかと推察します。

そんなことを考えつつ、酷暑の福岡でヘロヘロになりながら今日も頑張ります!  


Posted by 坂本 剛 at 15:17Comments(0)産学連携

2013年07月31日

晴れの宴(紫綬褒章受章記念祝賀会編)

先週末7月27日(土)に、以前ブログでのアップした、九州大学システム情報科学研究院都甲教授(以下、都甲先生)が今年の春の紫綬褒章を受章されたことを記念して祝賀会が開催されました。場所は、


西鉄グランドホテルです。私は、若輩者ながら本会の発起人を務めました。

都甲先生といえば「味覚センサー」。生体を模倣した人工の膜を用いることで味の計測を可能として、世界で初めて味を測る装置(味覚センサ)を開発することに成功されました。と、ここまではよくある話なのですが、この研究成果の事業化を、大学発ベンチャーを創業することにより実現し、数々の産学官一体となった開発プロジェクトを成功に導くなど、産学官連携分野に多大な貢献をされたことが今回の受章の理由のようです。詳細はこちら


ちなみに、これが「味覚センサー」。大学発ベンチャー企業「インテリジェント・センサー・テクノロジー社」が開発・販売を行っています。

都甲先生との関係で言えば、産学連携機構九州として、国の助成事業(マッチングファンド事業)で支援させていただいたこともありますが、個人的にも従前から親しくさせていただいており、今回の紫綬褒章受章は九大OBとしても非常に嬉しく、また素晴らしい快挙だと思います。


当日は、九大関係者、連携先企業・団体から100名を越える方がご出席されました。いろんな方がお祝いのスピーチをされたのですが、一番印象に残ったのは、都甲先生のスピーチでした。

祝賀会冒頭に約15分という長めのスピーチをされたのですが、その中で「産学連携の成功の秘訣」についてのエピソードを披露されました。

あるメディアから取材を受けられた際に、記者から「産学連携の成功の秘訣は?」と尋ねられたそうです。

その答えを要約すると、

・世間一般的には、1+1=2である。
・しかし、産学連携では1+1=0.5にしかならない。
・なぜなら異なるカルチャー・方向性を持った者同士が一緒に力を出し合うのだから、普通に1を出し合ってもプラスよりマイナス面のほうが多いので、結果として0.5にしかならない。
・しかし、お互いに普段の倍(2)の力を出し合ったときに、2+2=4ではなく10になるのが産学連携の醍醐味だ!

とのことでした。今回は、まさに2+2=4ではなく10になった成果だということです。

産学連携というと、なんとなく格好がよく、打ち出の小槌のごとく「連携すればイノベーションが生まれる」と口にする方がいらっしゃいます。企業同士・社内同士の連携以上に本気で連携し、普段以上の情熱・パワーを持ってお互い付き合わないとうまくいかないし、逆にそれがうまく行った場合、爆発的な成果が生まれる可能性があるということだと私は理解しました。


とにもかくにも、都甲先生はじめ、関係者のみなさまおめでとうございました。九大の産学連携活動から都甲先生に続く成果が今後数多く創出されることを期待しつつ、私自身もその活動に貢献できるよう普段の倍以上のパワー・情熱を持って取り組みたいと思います。
  


Posted by 坂本 剛 at 14:14Comments(0)産学連携

2013年07月08日

国際リニアコライダー(ILC)講演会

7月末には、日本国内の誘致地域が決定すると言われている国際リニアコライダー(ILC)
九州背振山地への誘致に関する署名は、20万名弱の数が集まったようです。

そのILCに関する講演会が急ですが、明日7月9日に福岡で開催されることになったようです。事務局の方からご案内を頂きました。

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◆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
┃緊急告知!7月9日(火)ニューオータニ博多  ┃                  
 ┃国際リニアコライダー(ILC)講演会(無料) ┃
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
日本への誘致が有力視される巨大な加速実験施設『国際リニアコライダー』(ILC)は7月末に九州(脊振山地)か東北(北上山地)に建設地予定が決定する予定です。
九州へのILC建設が実現すれば、福岡/九州に世界に冠たる国際科学研究所が誕生して、大いに発展していくものと期待されます。
ILCアジア-九州推進会議は、ILCのキーマンであるILC戦略会議議長の山下了・東京大学大学院准教授を招いての講演会を開催致します。
ぜひ、この機会に「ILCアジア-九州推進会議講演会」にご臨席を賜りますよう、謹んで告知致します。
どうぞ、よろしくお願い申し上げます。
7・9国際リニアコライダー(ILC)講演会
●日時:7月9日(火)15:00~16:30(14:30開場)
●場所:ホテルニューオータニ博多3階芙蓉の間
(福岡市中央区渡辺通1-1-2)
●講師:山下了・ILC戦略会議議長・東京大教授
    塚原健一・九州大アジア防災研究センター長
●参加費:無料
●お申込み:ILCアジア-九州推進会議HPのイベント案内のWEBフォームよりお申込みください。

または、上記WEB上からチラシをダウンロードしていただきILCアジア-九州推進会議 事務局(九州経済連合会)までFAX(092-724-2102)でお申込み下さい。
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私は、SAM会のため参加できませんが、ご興味のある方は是非ご参加ください。
  


Posted by 坂本 剛 at 10:05Comments(0)産学連携

2013年06月21日

ILC(国際リニアコライダー)のイノベーション効果

私は、地域でILC(国際リニアコライダー)の誘致活動をおこなっている「ILC唐津推進協議会」の役員を務めています。

その関係者の方から情報をいただいたのが、公益法人日本生産性本部が試算した「ILCのイノベーション効果」です。

その金額は、ILCの建設期間10年+運用期間を20年=30年間で考えると、なっなんと「45兆円」。

ILCの建設費は10年間で約8000億円と言われています。ILCとは地下に全長約30キロの直線状の超伝導加速器を作り、電子と陽電子を衝突させて宇宙創成の謎に迫ろうという巨大実験装置です。

従来、このような基礎科学研究における対投資効果を測定する場合、研究成果から「直接」生まれるであろう経済効果を試算していましたが、今回は、ILCの建設過程および研究成果から派生する様々なイノベーションの経済効果を含んでいます。

この報告書によれば、そのイノベーション効果は大きく分けると2つになります。

・先端技術を開発することで派生するサプライヤー産業でのイノベーション効果(一次効果)

これは、ILCの心臓部である加速器や、関連の部品、素材にかかわる産業における経済効果です。

・開発された先端技術を利用するユーザー産業で派生するイノベーション効果(二次効果)

これは、加速器から生成される1次ビーム(イオン、電子線等)および2次ビーム(放射光、自由電子レーザー、陽電子、制動放射X線)を利用・応用することにより生まれる産業が誘因する経済効果です。半導体の製造やガン治療などの医療機器、農業への応用による経済効果がこちら側の効果に入ると思います。

一方、創薬や、IT、燃料電池等のエネルギー産業等における経済効果は基礎データが揃わないため対象から外した、つまり、今回の数値に入っていないとのことです。そういった意味で、今回の経済効果は、単に大風呂敷を拡げたものではないと個人的に思っています。

ILCの建設費8000億円のうち、ホスト国が半額の4000億円を負担する必要があると言われていますが、10年で4000億円の投資に対する30年間での経済効果がその約100倍であれば、国家として投資を検討するに十分値するのではないでしょうか?

それに加え、私が期待するのは「Priceless」な効果です。特に、我々の子供、孫世代への教育的な効果は計り知れないのではないでしょうか?

自分が住んでいる場所の近くからノーベル賞級の研究成果が続々と生まれる環境、子供の頃から多様な人材と交わることにより生まれるグローバルな視点。資源が乏しい日本は、知識経営国家にといった道を選ばざるを得ないと思っています。それらを支える最大のインフラは「人材」です。そんな環境が「日常」となる九州になればと期待しています。  


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