ILC(国際リニアコライダー)のイノベーション効果

坂本 剛

2013年06月21日 15:52

私は、地域でILC(国際リニアコライダー)の誘致活動をおこなっている「ILC唐津推進協議会」の役員を務めています。

その関係者の方から情報をいただいたのが、公益法人日本生産性本部が試算した「ILCのイノベーション効果」です。

その金額は、ILCの建設期間10年+運用期間を20年=30年間で考えると、なっなんと「45兆円」。

ILCの建設費は10年間で約8000億円と言われています。ILCとは地下に全長約30キロの直線状の超伝導加速器を作り、電子と陽電子を衝突させて宇宙創成の謎に迫ろうという巨大実験装置です。

従来、このような基礎科学研究における対投資効果を測定する場合、研究成果から「直接」生まれるであろう経済効果を試算していましたが、今回は、ILCの建設過程および研究成果から派生する様々なイノベーションの経済効果を含んでいます。

この報告書によれば、そのイノベーション効果は大きく分けると2つになります。

・先端技術を開発することで派生するサプライヤー産業でのイノベーション効果(一次効果)

これは、ILCの心臓部である加速器や、関連の部品、素材にかかわる産業における経済効果です。

・開発された先端技術を利用するユーザー産業で派生するイノベーション効果(二次効果)

これは、加速器から生成される1次ビーム(イオン、電子線等)および2次ビーム(放射光、自由電子レーザー、陽電子、制動放射X線)を利用・応用することにより生まれる産業が誘因する経済効果です。半導体の製造やガン治療などの医療機器、農業への応用による経済効果がこちら側の効果に入ると思います。

一方、創薬や、IT、燃料電池等のエネルギー産業等における経済効果は基礎データが揃わないため対象から外した、つまり、今回の数値に入っていないとのことです。そういった意味で、今回の経済効果は、単に大風呂敷を拡げたものではないと個人的に思っています。

ILCの建設費8000億円のうち、ホスト国が半額の4000億円を負担する必要があると言われていますが、10年で4000億円の投資に対する30年間での経済効果がその約100倍であれば、国家として投資を検討するに十分値するのではないでしょうか?

それに加え、私が期待するのは「Priceless」な効果です。特に、我々の子供、孫世代への教育的な効果は計り知れないのではないでしょうか?

自分が住んでいる場所の近くからノーベル賞級の研究成果が続々と生まれる環境、子供の頃から多様な人材と交わることにより生まれるグローバルな視点。資源が乏しい日本は、知識経営国家にといった道を選ばざるを得ないと思っています。それらを支える最大のインフラは「人材」です。そんな環境が「日常」となる九州になればと期待しています。

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