成功するベンチャーを「ソーシャルグラフ」で考える

坂本 剛

2010年11月12日 07:49

先日ブログにアップした「IPO激減時代のベンチャー経営と資金調達」。

磯崎さんの「起業のファイナンス ベンチャーにとって一番大切なこと」が話題になっていることもあり、多くの方にアクセスいただきました。


ミーハーな私は、著者の磯崎さんにサインをいただきました(笑)。

私が磯崎さんの本、および講義を拝聴し、いろんな気づきを得たのですが、一番印象に残ったのが「成功するベンチャーを「ソーシャルグラフ」で考える」という点です。(起業のファイナンスp.112~116)

先日のブログに最後に少し記載しています<ソーシャルグラフと事業の関連>の部分です。もう少し詳しく書くと、

事業(ビジネス)とは、財務諸表に表わされる「利益」をいかに長期的に大きくしていくかということ

直接的には「この会社と取引しよう」「この会社で働こう」といった人と人との取引関係(契約)の結果が反映されたもの

しかし、なぜ人がそうした契約を結ぶか?というと、商品の「品質」「価格」”だけ”を見て決めるというよりは、「契約」までいかない人と人とのつながりが強く影響していることが多い(友人がほめた、周りの知り合いがほとんど使っているなど)

特に革新的なことに取り組むベンチャーほど、事業内容・商品・サービスは理解してもらいにくいので、いかに「イケているソーシャルグラフ」の中にベンチャーがうまく入り込めること、「状況に合わせて臨機応変に対処できるか」が大切である

といった感じです。磯崎さんはこれらを、「イケてるベンチャー企業の要件」として、

「イケてるソーシャルグラフの中に潜り込んで、自分の必要をかなえる能力」、たとえば、「資金を出してくれる人にたどり着いたり、人材を見つけ出し、営業で成果を上げる能力があること」とまとめられています(p115)

ベンチャー起業時に不足する「人」「金(資金)」「実績」を担保するために「人的ネットワーク」が重要であるということを、上述のように財務諸表とソーシャルグラフを使って、ロジカルに説明したファイナス本は、少なくとも私にとって磯崎さんの本が初めてです。

また、私のつたない経験から言えるのは、「イケてるソーシャルグラフ」は「信頼のネットワーク」から成り立っているということです。綾水会でもそうですが、毎月定期的にある目的を持って会い、お互いを知るといったプロセスを経たネットワークから新たなイノベーションが生まれていく、しかも、それが福岡といった地域だけではなく、東京や海外とのネットワークにもつながっている。。。

オープンな異業種交流会も悪くはないと思いますが、単なる名刺交換会だとあまり意味がないのではないかというのが私の意見です。

さらに、現在では、SNSやtwitterなどソーシャルメディアがいろいろありますので、それらをうまく活用することにより、イケてるソシャールグラフ、信頼のネットワークの構築を加速させることが可能です(リテラシーは必要ですが)。

どれがいいとは言えませんが、そういったネットワークを構築したいという方(特にコーディネーター、インキュベーションマネージャーの方)には、何かツールを活用されることをお勧めします。

関連記事